”君は疲れているようだ”と言われた一週間

”幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だ”
という文面をウエスにマーカーペンで書き込んだ後に倒れるという事態もあり得ると思われたので健康には注意をしていたのですが、私の身体には何らかの変化が発生することもなく普通に暮らしているのです。
いったい何のことだ?とうとうタイトな暮らしにご乱心か?と言われる前に答えます。
実は私は自分自身で実験をしているのです。
実験内容は動物由来の材料を使用した物を摂食しない、つまり菜食主義という私の見解によれば人類にとっては不自然と思われる食生活を実施してみようと思い立ち、お手軽に検索してみた所、菜食主義には色々なセクトが存在するようなのでどうせならトップカテゴリーであるヴィーガン生活を私の人生に取り入れたのであります。

ヴィーガン生活とはどのような様式なのか、私自身の食卓に並ぶ材料は穀物、野菜、豆だけなのです。幸い私にとって食事とはただの燃料補給くらいの意味合いしか無いので平気の平左なのですが人によっては恐るべきストレスの発生源に成り得るかも知れません。なんとなく高名な寺院で高密度に徳を積んだ僧侶でさえ「I surrender!」と叫びだしてホールドアップするかも知れず、従って他人に進める気は全くありません。
とはいえ、メリットも無いわけではなく半額ステッカーという特別の調味料が添付された肉や魚由来の食物に心を動かされる事は無くなったのです。
精神面においても生類憐みの令が脳髄に発生して動物愛護の旗印を掲げて動物病院やペットショップに(動物の)自由、権利、解放を唱えて突撃したくなるわけもなく・・言うまでもなくそれらの行動は略奪や誘拐であり厳しく罰せられるのであります。従って平穏に暮らしているのです。
ところがとても残念な事にデメリットが露見したのです。
ヴィーガン生活を開始しておよそ2000000秒ほど経過したころにそれは発生したのです。

愛車の軽トラックで雨天に走行中いつもよりスロットルレスポンスが悪いと感じつつ信号待ちで停止した時そのままエンジンも停止したのです。すぐに再起動しようとしても非常にかかりが悪いのです。
どうにかリスタートには成功したのですがすスロットルを開け気味にしないとストールしてしまうのです。ん?プラグコードかな?それともキャブレター?

赤面すべきエピソードを経てどうにか自走で帰還は出来たのですが私は重大な局面にさらされたのです、もうすぐ車検満了の時期である軽トラックに暇をやるか修理して車検を通すか・・・
不調の原因はディストリビューターが雨で湿った・・なのです。21世紀の現在雨天中止の自動車とは・・・割と真面目な整備士であると自称する私でも今更肉食に転んだとしてもデスビが勝手に雨をはじくとは考えられないのです。理由として動物性たんぱく質の摂取を辞めた事とデスビの故障に因果関係があるのかまだ不明だからなのです。
そこで有識者や専門家に助言を求めたところ「暇やれや、そんなポンコツ」が大半だったのです

どうすべきか、今の軽トラックは私にとって初めてクーラーが装備されているという記念すべき車両でありそれなりに愛着もあるのです。だけど雨に弱い・・これでは軸だけの雨傘のような製品であるので所有する意味もないのです。
いろいろな案を比較検討した結果一番経済的に優れた選択は、修理して車検を通すに落ち着いたのです。

私の決心は修理して車検を通す、なので自動車修理工場の親方にくれぐれもディストリビューターに注視して欲しいと要望を伝え付き合いもあるので車検もお願いしますと伝えたのです

それから何日かたったある日、車検は無事に終了したという通知と不調の原因はファンベルトが痛んでいたため発電量が少なかったのと、ついでにクーラーベルトも交換したとの事
念の為ディストリビューターの具合を聞いたところ異常なしだったと言われたのですが雨天の幹線道路で屈辱的な行動をせざるを得なかった私は今一度確認してほしいと伝えたのです

次の日の事です、会社帰りの知人が来店した時に驚くべき情報を公開したのです。「お前の軽トラ、あのあとディーラーに持っていってディストリビューターに霧吹きで水かけたら止まったらしいぞ(笑)」
絶句している私にかまわず悲報は続きます「それからな、あの軽トラ古いからもう部品はメーカーに無いんやて」

私の決心は果たして間違っていたのだろうか?車検から戻ってきた軽トラに苦肉の策として結構な防水処理が施されたディストリビューターを眺めながら自問自答の末やはりあの状況下では拙速とはいえベストな判断であったと思うのです、もしあの場面でズルズルと決断を先送りにしていたら車検の切れたキロ当たりいくらの価値しかないゴミになっていたのだと。それにどのような分野の仕事でも一番の醍醐味はたった一人であったとしても指揮を執り決断を下す事なのだと思うのです。

次の日の夜、あいにくの雨天、引き取り要請があったので軽トラのエンジンをスタートさせようとしたのですが起動出来ない・・あゝ最っ高だ!今日はツイてる・・・昭和のキャブターボかよ・・

一応自動車修理工場の親方に抗議したのですが、ディストリビューターはメーカーの限られた敏腕整備士にしか交換調整出来ないという秀逸な言い訳を聞いているうちに私の軽トラックは枢機卿クラスの性根の入った祈りでしか起動出来ないロストテクノロジーの結晶であり抗議する方が間違っているのではないかと思い始めたのです
まぁ腐っていてもしょうがないので今後の方針を立ててみよう

第一に、リース契約を結んで新たな軽トラに乗る。メリットはリース料金は経費として扱えるのと最新の車に乗れる事、デメリットは乗り続ける限り賃貸住宅のように無限に支払いをする必要がある。それに言うまでもなくリース屋さんには有利ですが私にとっては不利なディールである
第二は、中古車を探して購入する。メリットは初期投資が低い事、デメリットは快適装備皆無の昭和の機械に乗る可能性が高いのと補修部品が枯渇していて同じ過ちを犯し無用な嘲笑を受ける可能性が高い。
第三は、思い切って新車を購入する。メリットは新車である、デメリットは金策という困難な事態が発生するのとそれに伴ってヴィーガン生活よりもさらに先鋭的な食生活を開発しレイテ島のジャングルを彷徨う野火の主人公並みにスマートになり過ぎる可能性が極めて高い確率であると言わざるを得ないのです。

3つほど私の行動方針を列挙してみたのですが・・全体的にいまいちパッとせず照りというものが無いのは私の脳内にはある種の栄養素が枯渇していて良いアイデアが出て来ないのかも知れませんし、人生を切り開く勇壮なスタイルではなくただのダメージコントロールなので張り合いが無いのが原因なのかもしれません。
それに最近、自転車のパンク修理に来られる近所のご老体の方々のもっぱらの話題は”二千万円持ってへんかったらはように楽になるらしいで~”だったので私も興味本位で貯金計画を試算してみた所およそ167万年必要だと表示されたのも暗い影を落としているのだと思われます。

様々なお客様からちらほらと職場に関する愚痴を聞くことがあるのですが、大別すると上層部の現場への無理解に起因すると思われる閉塞感と士気喪失、それと同じカンパニー内の人間関係のようです。職場虐めや私的制裁というのは経営最高責任者に対する背任行為であり反逆であるという意識を浸透させればいつか終息すると安直に思われるのですが、人間関係が社内政治に起因するものであれば解決には多大な労力が必要になるのかも知れません。名の通った大手企業でパワハラやセクハラの調査をした人や育児の為の休暇をした人が何故か不思議にも退職せざるを得ない状況に追い込まれたというニュースを読んだのです。そこで思い出したのはアメリカの将軍の記述なのです。うろ覚えなのですが「セブ島の海岸には太平洋でもっとも堅固な陣地があった、だが、ここでも不思議にも日本軍は兵力配備に失敗していた」ひょっとしたら日本のちょっとした組織とは必要なポストに必要な能力を持った人間を配置せずに年功やゴマすりが融合したフォースによって職場独自の政治が横行するのではないだろうか?と思いついたのです、すると命令を忠実に実行するとても有能な人や与えられた権利を行使した人が排斥されるという事もあり得るのではと考えるのも自由であると言って良いでしょう。
ところが草食動物である私よりとてもスマートにそしてエレガントな回答を肉食?東欧ヨーロッパの人は出すのです
Q. とても誠実で信念を持つ人がいるのです、買収できますか?
A. 買収は・・・無理ですが・・・売る事は出来ます
買収とは懐柔と言い換えても良いでしょうが、たった二行で表現出来るとは・・・私の完敗と言って良いでしょう

ヴィーガン生活の限界か?問題解決に尽力する為には普通の食生活に戻すべきなのか?またしても思考のジンバルロックに陥っているのでは?
解決すべき問題を先送りにするというのは孤立した大人としては今そこに発生するかも知れない災厄を手をこまねいて傍観し、自ら育て上げた喜劇に肥料を注入し泣き言を喧伝するという滑稽千万な行動方針と言えるので特に信念の無い実験を中断すべきなのか
とはいえヴィーガン生活も色々な発見もあって割と楽しめるのです、例えばちくわの原材料は魚類と知った時の驚きと新たな知見を得た喜び等、今までちっとも興味の無かった分野である食材に関心を持つことが出来たのは実験成功であると宣言しても良いのです、従ってもうしばらく継続して新たな発見を楽しむという方針も悪い判断では無いとも思うのです。

朝令暮改、即断即決がモットーである私にとっても悩ましい課題に直面していたら事態は好転しだしたのです
まず、軽トラックは別の整備工場のまだ会ってもいないベテランのメカニックが機転を利かせて工場の何処かに眠っていたディストリビューターキャップに交換してくれたので全天候能力を回復したのです。なんという尊敬すべき腕前!適合するかどうかも不明な部品を融合して頂いたのです。
そして憂慮すべき老後資金なのですが、上記の単位は福利厚生のしっかりした厚生年金をもらえる職場の構成員の話であり私の場合は最低限それの二倍は必要だと言われたのです、三百万年も生きれる自信は無いですよと言おうとした時に遮るように言われたのです「はよ死んだらええがな」

短い言葉で解決策を出す、とても良いですね。そして早速短い言葉を記入すべき出来事が発生したのです。
作業見積書を作成してプリントアウトしたら何故かスローガンを記入する欄があったのです。書くべきなのか?送付先はとても大きな組織です、そしてどうせ書くならハッタリを利かせる必要があると判断したので悩み抜いた末に記入した文面は”抑圧からの解放”書いてからちょっと後悔したのですがボールペンで書いてしまったので修正出来ないのでそのまま返信用封筒に入れて発送したら次の日に封筒ごと戻って来たのです。もちろん意味不明書き直しという理由では無く封筒の重量オーバーだったのです。
こいつはヘビーだなと思ったのですが買い物ついでに10円切手を購入して貼り付けてポストに投函したのです。あとは担当者が小さく書かれたスローガンに気づかない事を祈るのみです。

コンパスファクトリー|大東市・四条畷 バイク修理

〒574-0072 大阪府大東市深野5丁目22-12

TEL : 072-870-1663(AM9:00 ~PM8:00)

E-MAIL : bike@compass-factory.com