映画の中でNASAの技官の台詞に一番重要なのは電力だ、というシーンがあった記憶があります。なるほど松明やほうきやちりとりには電力の出る幕はありませんが人間社会の根幹をなすインフラ等は電力が無くなるとストップしてしまうのであります。個人的には人類の平均寿命の伸びは電力量におおむね比例していると思われます、電気の無い病院ではいくらドクターが超優秀でも尽くせる手は限られてくるという一例をあげるだけでも納得の事でありましょう。その他電力が無ければ大多数の現代社会人は娯楽どころか生存も困難になると思われます、言い方を変えれば一部の例外を除けば文明化された現代人類は電力を食べる生物だと言い切っても良いでしょう。当然ながらその電気はどこからやって来るのかが問題なのであります。壁のコンセントにプラグを差し込んだら勝手に電気が発生するわけではなく大規模な電力工場が必要なのです、電力を生み出す主な原材料は油や石炭、太陽光に水の位置エネルギーや核燃料等がありましてそれぞれ長所短所があるようです、石油石炭は昔から枯渇の時期は近づいていると言われ続けてさらに大気汚染や地球温暖化に貢献しているらしいのですが効率がよいらしくどこからも反対運動が発生しないようです、太陽光はクリーンなのですが低気圧と地球の自転が弱点であります、水は日本のような地形にはピッタリですが砂漠にはありませんしあったとしても平坦な地形ではいまいち威力を発揮できません。そして原子力の出番なのですがその昔は夢のエネルギーともてはやされてアメリカやソビエトで深刻な事故が起こった後も特に問題なく稼働出来たようですが震災の影響でブローしてしまった後のすったもんだで愛想をつかされてしまったかのようです。とはいえ資源の無い日本で電力の確保を化石燃料だけに頼るのは宜しくはないでしょう、なぜなら海賊等が公海上に潜水艦を並べてタンカーを臨検しだしたら大都会が暗闇に包まれる可能性が無いとはいえないからです。しかしながら原発の反対運動の理由も理解出来ますのでなにかいい方法はないものかと考えてみたら我ながらスマートな案が思いつきました。
原子力発電の最大の懸念は災害時の故障で地域に有害な放射線をばらまいてしまう事なのですがそれならば災害にあまり影響を受けない構造にすればよいでしょう。どういった仕掛けなのかと疑問も出てくるでしょうが結論から言えばアメリカやソビエトの中古の原子力潜水艦をそれなりの金額で購入して平和利用するというのはどうでしょうか?発電のみに使用するのであれば物騒な装備を付けた新車である必要は無いからであります、電源ケーブルをつないで浅海やプールに並べておけば災害が発生したとしても案外平気かもしれません。そもそも水棲の機械なので水害はむろんのこと地震も水中ではそれほど影響を受けないような気がするからです、それに以前は世界を破壊することも辞さずに海中でお互いを探りあってた彼女達も制服を脱いだ今は仲良く人類のために働いているという物語は結構受けて観光名所になるかも知れません。問題は売ってくれるかどうかですが。
電力問題は勝手な妄想で解決したのですが、現在わたしが抱えている中で難易度が高い問題は今の今まで独身貴族を謳歌していた人物が突然転向して嫁さんになってくれる人を探して欲しいという依頼です、気が変わったという原動力も聞く分には愉快な内容ではあったのですがバイク選びのように簡単に解決出来るわけが無いのです。乾坤一擲の決心はハードルが高いのは至極当然の事でありまして
こんな人がいいとか思想信条にこれらが加わったら困るとか好みの問題はさておいて個人的に興味深いのは相手を探す方法論なのです、考えてみれば直接照準で相手を射止めるのは若者の特権なのかも知れません、やはり年を重ねるとよほどの男前でもない限りいろいろ難しくなってきて今回のような壮大なアウトレンジ式間接射撃戦法に移行していくのでしょう、そして最大の問題は三角関数がさっぱりわからない私が観測員に選ばれたということなのです。しかしながらここは発想を転換してみるのも良いかもしれません高度な数学的手法を駆使出来なければ初めからまぐれ当たりに期待して適当に照準するというわけです、そもそも自分の人生でも無いのでまぁよかろうという甘えがその考えを加速さしていったのですが・・・・
そんなこんなを考えていたらオイル交換に来てくれたお客さんが自転車のハブ付きホイールでコリオリ力という難しい理論を体感出来る方法を教えてくれたのです。閃きました
上手く目標を探知する事が出来ない私の無能さを棚に上げて当人の保持している強力な慣性力がすべてを台無しにしてしまうのであるという謎の物理法則を構築して言い訳をするという作戦です
ところがです、大企業に所属しているだけのことはありまして何かを察知したのか私が口を開く0.5秒前に先制口撃を受けたわけです、「どうやら君は男女の思想の違いを本質的に理解してないようなのでこの書物を読め」と図書館のラベルの張られている本を渡されたのであります。演説は続きます「男女の思考差をよく研賛して事に当たれ」とです、ずいぶんはしょってはいますが。私としても簡単に怯むわけには行きません、そもそもその本に記述されている内容はそれほど普遍的なものではないのではないかとの疑問がぬぐえないからなのです。とはいえ女性の立場になってという新たな見識は有効かも知れません。
そこで女性の求める理想の男性像を(ネットで)見分してみたところ性格云々も重要ではあるが年収という経済もまた重要であるとの事です、そして今回の依頼人に関しては双方クリアしていると思われるので問題はそこには無いという事が証明されました。
これは困りました、問題点を見つける事が出来なければ改善することは決して出来ないからであります。点火プラグを交換してスロットルボディーを清掃したら良くなったとかそんな風には行かないのです。
考えを巡らしている時に気が付いたのですがひょっとしてこれは思考のジンバルロックではないのか、そもそも私たちは大人の恋愛や結婚によく知りもしない物理学や人類学を無理やり適合させてはいないのだろうか一番の問題点はそこではないかと、思考の自由度をいつの間にか気づかずに失ってしまったら人は権威に頼るという事を自分自身で証明してしまったのではないか、そして狭窄した視野に理想的な嫁さん候補が現れるとしたらそれは神学の分野になるか産業スパイ以外考えられないと結論が出ました。
作戦を変えるしかあるまい
今回の稿の後半は進捗具合と思考過程を文面にせよと特別に指示を受けたものです、覚えたての小難しい用語をちりばめてはいますが早い話がちっとも進んでいないと告白していると言ってよいでしょう。そして私に課せられた難問をエレガントに解決してくれる方が登場してくれたらいいなぁという期待も多少あったりするのです。