お正月の最中に「日産自動車の親方逐電せり」のニュースを見たときに関係者諸氏には誠に申し訳ないのですが笑ってしまったのであります。
そして即座に壮大な物語を思い浮かべたのです、題して「電撃シャルル」・・・電撃チャックの方が語呂が良いな。という訳で「電撃チャック」シリーズが私の脳内に発生したのです。
シーズン１の立志編から最終編の「時は今、ナンバー２のクーデター」まで続く精緻なプロットが完成したのですが早すぎる祝杯と共に忘れ去ったのです。
現在の時点では悪代官的な扱いを受けているみたいですが批判を恐れずに申し上げれば個人的にはこういったロケット人物はちょっと憧れでもあるのです。

何故なら私事なのですが、去年の後半の事であります。私の仕事や生活を最大限6パーセント向上させる可能性のある良いオファーが来たのです、基本的に私の頭脳は年中アイドリング状態なのですが、その時は有利なディールを確立しようと頭の回転数を上げる為にスロットルはミリタリーパワーにして航空映画の見せ場で良くある補助燃料タンクを捨て身軽な状態で交渉の場に向かったのです。そしてお互いにとって良い返事を出す用意がありますとまとめ上げたのです。そしてその時私の脳内では以下の文面がリフレインしていたのです。
In peace there’s nothing so becomes a man
As modest stillness and humility:
But when the blast of war blows in our ears,
Then imitate the action of the tiger;
Stiffen the sinews, summon up the blood,
Disguise fair nature with hard-favour’d rage
コンピューター支援を元に独自翻訳すると

平和の時は控えめで物静か、そして謙虚な紳士で良いだろうう
しかし戦いの嵐が聞こえたのなら
虎のように戦え
筋肉を固め、血を湧き立たせ
穏やかな心を恐ろしい怒りで覆い隠すのだ

まてよ、引用はそれほど悪くは無いと思うが私はどれほど気合をいれても虎になれるタイプではないな。。
それなら猫ではどうだろうか、ただそれでは普段の生活と相違無いな。普段はぼんやりしていて突然ガガガッと忙しく活動するのが日常であるからです。
それに戦いの猫とは現実のそれの生活態度を拝聴するにとても想像し難いのです、争いのネコなら多少は擬人的文学表現としてあるかも知れませんが
それなら犬はどうだろう
皆殺しの雄叫びを上げ戦いの犬達を解き放て
これも隣の動物病院に連れて来られるそれを観察するにいまいち想像し難いのです。もっとも木を見て森を見ずという本質的な反論もあるでしょう、そもそも病に掛かったお座敷犬と勇猛にして頑強な猟犬を同列に語るのは最近サーモスタットの調子の悪い私の軽トラと戦車をコマさえついていれば全部車ですと力説するに等しいのです。それによく考えてみたら私は生物一般にはあまり興味が無いのでこれ以上の考察は控えるべきであるでしょう。
とはいえ、タイガーという響きは事業発展に必要な資質にも思えるので私の実際に可能な限り近づける、つまり極めてネコよりに規模を大幅に縮小するのが良いと判断したのです。
そうして出来上がった今回の計画名は「スコシ　タイガー計画」

いつも、ほんの少し人生の操縦を誤ったら即座に地面とキスする羽目になる高速超低空生活から上昇の見込みの高い計画に邁進し、我ながらうまいマニューバーで目標を捕捉し少し気の早い勝利宣言を出せるまでに至ったのです。まだ見ぬ最良の日はもうすぐだ
ところが、照準いっぱいに広がったターゲットは先方の状況の変化によってエイリアンの飛行物体のように消え去ったのです。

多分、ビジネスマンなら少し笑いながら言うでしょう「経験不足ですな」
結局のところ先方の事情も聞いたので仕方ない事であると納得はしているのと選択肢の一つに固執するのは損害を増やす事になり得るという合理的判断からプランBに変更したのです。
とはいえ、今後の為に反省も必要かと思われるので足りなかった物を探索することにしたのです。
そこで検索したのは新社会人のためのビジネススキルなのです。そして、驚愕したのです。推測するにある一つの情報を実務経験も無いのにスタイリッシュに続々と孫引きしていくと現実世界と乖離した理想気体の中で純粋培養された耳触りの良い言葉で埋め尽くされた天空のオフィスが完成するのでしょう。特に目を引いたのは論理的思考力を取得し公平公正に議論を進めるというくだりなのです。
そんな事があるのか？私が知らないだけであるのかも知れませんが個人的には眉唾と言って良いでしょう。

ある日の事です
お客様　「これ、農機のドライブベルトやねんけど長さわかるか？」
私　　　「知ってるわけ無いじゃないですか、でも確か整備士の試験では円が出たら直径に３くらいの数字を足すなり掛けるなりせなあかんかったはずですよ」
お客様　「お前、それは面積出すときや3.14ていう円周率を掛けんねん、それに高さ掛けたら排気量や」
私　　　「ああ！思い出した！それですわ」
お客様　ぺしゃんこに折り曲げたベルトをかざして「お前にはこれの円周が直径の三倍に見えるんか！？」
私　　　「言われてみたら二倍強に見えますね」
お客様　「せやろ、まぁええわホームセンター見に行くは多分似たようなもんあるやろ」

結局その日当店では円周を計る計算方法は直径に２に毛の生えたような数字を掛けるという事になったのです
その日の夜、念の為調べたら二人とも間違っていたのが判明したのです

ここでの重大な問題点は双方知らなかったという出来事ではなく議論とは決して公平な物では無いという事なのです。仮に私が数学の専門家であり正確に円周を計る数式を熟知していたとしたらどのように事態が推移するか考察してみたのです。私が数学の権威を後ろ盾に「君は間違っている」式の論理を展開し農機のベルトの長さを正確に提示したらどうなるだろうか？

多分返事は機嫌悪そうな表情で「なるほど、わかった、せや最近物騒やから夜道は気いつけて歩いたほうがええぞ、毎晩月夜とは限らんからな」という気遣い以上の何かを感じ取れる言葉を聞くことにもなるかも知れません、そこで私が少しでも不安な気持ちを抱いていつも晩御飯の食材を買い求めるスーパーマーケットを変更すべきかと考えたら科学的には勝利であったとしても精神的には私の敗北なのです。

何故敗北なのか、理由は簡単でありまして万が一有事が発生したとしたなら私にはフィジカル的にもソーシャルステータス的にも勝ち目が無いからであります。徹底したリアリストである私が知っている社会通念は世の中のどの階層にも強者と弱者が存在するという冷徹な事実なのです。例えばとある組織に配属された新入社員にとっては鬼と感じる中堅クラスも人事を掌握している上役の前では無害かつ忠誠心に溢れた人格を装う必要があるでしょう、何かの拍子に自由に発言をしてそれが上役の不興を買えば冥王星と呼ばれる僻地に赴任するとか２０３高地と呼称される退職損耗率の高い厳しい場所に配置換えされるという憂き目にあうかも知れないからです。

どうすれば勝利出来るか、一番簡単な方法としては勝てる物語を創造する。これは文学の分野では架空戦記と呼ばれているようです。早速展開してみます。栄養不良で白いナナフシのようにやせ細った過去の私を思い出すかのような人物をお客さんとして設定するのが良いでしょう。

お客様　「おい！修理代ちょっと高くないか！？お客さんは神様っていうやろ、もっと安ならんのか？」

私　「おもろい事言うてくれるのう～自分、表に川あるやろ、ほんの一滴も濡れんと水面歩いたら話ししたってもええぞ、その代わりうまい事行かんかったら神の名を騙ったちゅうことで異端審問に突き出すからな、しかもスペイン式やぞ！」

無く子も黙る恐ろしい言霊と共に終結した大勝利ですね、ここでの強気の根源はたとえどれほど不利な体勢から襲撃されたとしてもスルメイカ如きには決して負けないという自信が見えて来ます。上記の架空の会話から導き出せる教訓として議論に勝利するのに必要な要素は力が強いか数が多いという事になるでしょう。

全世界が知りたがっているビジネススキルを具体的に記述すると何故かメンタルが失速警告を点灯させる作用もあるようです。基本的に上から目線で無謬のロケット人物ならそのようなセンチメンタルとは無縁なのだと思われます。

最近ラジオ放送から流れる音楽に気になる曲を発見したのです。なんとなく枝の上で人間社会から距離を置いて心模様を探知しそれを歌い上げている小鳥のような異才を感じたのであります。そしてこれは同じ曲を周期的に流して洗脳し思考停止を謀るという独裁国家的手法を効果的に導入しているラジオ局の策略にうまくはめ込まれたという事では決してなく、歌詞に共感したのかというとそれもまた違うのです。いずれにせよ女性歌手の才能とそれを表現する方法に感動したのです。その日、青年が電子デバイスの電源ケーブルを付けてほしいという理由で来店したので若者向けの歌なり歌手等は当事者に聞くのが有効かと思ったので評価を聞こうと思ったのではあるのですがスマホの画面には多分異なる人物の写真が背景になっていたのです。そして即座に計画を中断したのです。理由として絶対的な存在を保持する青年から別の人物に関する情報を引き出そうとすると蛇蝎のような不当な評価を聞く恐れも十分に考えられるからなのです。せっせと計画を立て代替案で補強してそれでも失敗、未遂、自分自身の訓練不足により中止等山ほどあってもケロリ式の私なのですが、せっかく見つけた独創に溢れたアーティストが虎のように豹変した青年のマシンガンのような罵詈雑言の標的になったら私が深く傷つく可能性もやはり６パーセントに達する可能性があるからです。