なぜ、無人島に一冊、もってゆくなら「歎異抄」なのか。
という新聞広告を見て興味が湧いたので早速ウィキペディアで歎異抄の項目を読んだのですが恥ずかしながら私の頭脳ではそもそも記述内容がサッパリ理解出来なかったのです。
従って無人島には持って行かないでしょう。実際問題として何を持って行けば良いのか?、ソローの「森の生活」も良さそうな気がしたのですが厭世的ネイチャー生活と島流しは行動様式は似ているようで生きる気迫は全くの別次元のものかと思われます。そこで思いついたのは「ロビンソン・クルーソー」。私の知る限りにおいてある一人の人物を絶対的なそして絶望的な孤独の中に配置すればどの様に考え、どう行動するのかという実験をイギリス人作家がやってみたら驚くべき冒険になったという超絶前向きな物語だったような記憶があります。
なにしろこのロビンソンさんはとてもアクティブなのです、優れたハンターであり住居インフラを日曜大工で構築し、さらに食用植物の大規模栽培に苦労の末成功するという科学者でもあり、クライマックスは上陸用舟艇に乗ってやって来た異民族の食文化を悪魔的と糾弾して海に追い落とし、彼らに囚われていたいた捕虜を救出の後に子分にするという軍人上がりの政治家のような資質を所有して、最終的には偶然現れた海賊船に便乗して帰還するという優れた対人能力を誇る、例えば都会で迷子になった友人が反社会的勢力の高級乗用車の後部座席に乗って帰宅するのに相当するでしょう、つまり傑物なのです。従って参考には成り得ません。
多分私なら、浜辺で生魚をかじって悲嘆に明け暮れるとか朝廷向けに呪いのこもった不幸の手紙をしたためたりとかその辺が関の山といった所でしょう。
とはいえ、そのままでは人生の残り時間も短縮されるだけなので良さそうな書物は無いものかと探してみたらありました。その名もズバリ”サバイバルマニュアル”、火の起こし方や飲料水や食料の確保の方法が精密の記述されているのです。そして製本元はアメリカの出版社だったのです、これはとても重大な問題を含んでいるのではないかと思いついたのです。
少なくとも欧米人は危機的状況になったとしたら精神的世界に没入して神の国に大急ぎで接近するという方法を良しとせずに生存を最優先事項に設定し実行していくというしぶとさを美徳としているように思えたのです。何故か最近になってグローバルで活躍出来る人物になりたがっている私にとってこれは大いなる指針になると言って良いでしょう。
ところが万が一の確率で幸運にも海外でも活躍出来るようになったと仮定したところで日本の文化等を説明出来なければ恥ずかしい思いをする上相手にもされない根無し草扱いされるという記述を読んだのです。
日本の文化か、、、仕事柄たまに見かける奇抜な改造車等(当店ではヤンキー号と呼称しています)はもとはと言えば当然舶来の文化なので私には語るべき文化的素養が無い事が露見したのです。
当惑していても始まらないので聞いてみたのです。日本の文化として海外に発信されている物はなにがあるか?
答えはアニメーションではないだろうか?だったのです、なにしろ現在アニメの本場は日本である、他所の国の文化や文明について能書きを吹くのは笑止千万であるので自国のそれらを理解し掌握すべきでは?とも言われたのです。
一理あるな。と思えたので早速閲覧してみると、驚きました流石の本場です、基本的に私の鑑賞対象外だったので気づかなかったのですがタイトルの多さときたら汗牛充棟もただならぬといった感じなのです。
題名の書かれたサンプル画面を見ながら思い起したのはアニメ作品を鑑賞するのは多分、、「金魚注意報」以来ではないだろうか?という事だったのです、お客さんやその他の人たちに勧められた作品もあって確かに鑑賞したのですが、タイトルを思い出せないのはいまいちそれらの世界観に私の内なる精神が反応しなかった事にほかならないからとも思えます。とはいえ”わかるぞ同志!魚類と人類が言語を介して意思疎通を図るアナーキーな世界観が君の心の琴線にふれたのは疑いようもない、そして僕の話も聞いてくれ!”という意見もあるいは発生するかもしれませんが、それも早計というものなのです。確かに「ワピコの天気予報」というテクニカルタームは記憶に残っているのですがそれがどのような物なのかはちっとも覚えていないのです。詰まるところ当時の私には事情があって、なかば強制的に鑑賞させられていたのでありまして私の自由意志によって鑑賞していた訳では無かったとはっきりと申し上げるのであります。従って同志には成り得ない事も申し述べる必要もあるでしょう。
優れた作品は多数あるとは思えるのですがタイトルの多さに掌握は不可能と判断したので別の分野を検索するべきか
あるいは奇妙なアプローチ方法として思いついたのですが今までの自分を抹殺して(言うまでもなく比喩表現です)外国からの旅行者という新しい人格を創造し日本の文化や言語そして個人と社会の関わり等を習得するというのも私好みの方法論と言えるでしょう。
早速別の人格を構築してみよう、新たな国籍はどこが良いか、発見を楽しむためにはなるべく日本や日本人に興味の薄い国が良いと思われます。ややこしい作業にも思えるのですが、つい最近「こんな日に営業活動するとは貴様は非国民だ、世が世なら憲兵隊に引っ張られるぞ!」というご指導を頂いた私にとっては容易な事でもあるのです。
人格の新規作成は営業長期目標のようにじっくりと煮詰めていく方針が良いでしょう。
そして見知らぬ国土の探索には乗り物が必要になるでしょう。そこで今回の選択として、近距離用にカブ90・・これは信頼性が非常に高く頑丈であるという私が乗り物に求める正しい資質を有しているのと取り回しが良いので多少の悪路も走行が可能なのです、修理も容易でありますし。命名するとすれば・・エンデバー号が良さそうです。
中距離用にはXT250X・・ヤマハのセローベースのオンロード車です。いつもお客さんにはノーマルが一番良いですよと話す私にしては珍しくいちびったマフラーが付いている峠道ではとても軽快なオートバイなのです。これはチャレンジャー号と名付ける事にしました。本来わざわざメーカーの命名に歯向かって別の名前を付ける必要は全く無いのですが、見知らぬ土地を発見しに行く時には冒険心に気合が入るというものです。
あとは何を見に行けばよいのか?日本の文化といえばやはり文化遺産を見物に行かずして語る訳にはいかないでしょう。そこで早速外務省のサイトを覗いて見たのです。結構あるな・・・
例えば私が中華人民共和国出身であるという革命的な設定にしたのなら日本に観光旅行で行くべき場所は果たして何処がよいものか?
これが実は思いつかなかったのです。別の国籍が良いかな?じつはおぼろげに新たな人格向けの国籍は浮かび上がって来ているのです、決して雷同を尊ばない民族に、ただ準備期間に少し手こずりそうなのです。
そして手始めに容易な事から少しずつ積み上げる方針に決定したのです。汚れの目立たない色とはいえ作業服で観光名所をウロウロするという冒涜的な行動は控えるべきなので、とりあえず外出用に資本主義的なデザインの衣装を購入する。その後は状況の変化に応じてゴーかノーゴーにすれば良いでしょう。日本発見ツーリングと銘打てば面白みも増すというものです。
多分、私以上に不安定な暮らしをしていると確信できる人から「この店もセーブポイントになりますよ」というありがたい言葉と共にとても素敵なプレゼントを頂いたのです。その日の夜、私の精神の一部に間借りしている創業時からの友人で尊敬すべき上司でありさらに腰痛仲間でもある支配人リヴィエールさんに叱責されたのです。「お前には失望したぞ、せっかくの頂き物を活用してお礼の手紙を出すのが筋だろうが!貴様はクビだ!」
まことに卓見であり正論なのですが、問題はプレゼントはアンティークな英文タイプライターなのです、とても良い品なのですがこれで手紙を書くというのはとても困難なのです。すべての元凶は私の勉強不足という事になるのですが実際問題として
立冬を過ぎて街路樹の落ち葉も目立ち寒さも厳しくなりつつある今日この頃いかがお過ごしでしょうか
という挨拶で始まる文面を英文タイプで出力するのはどうすれば良いのか?一番簡単な方法としてはローマ字に変換して(ローマ字は知ってます)そのまま出力する。ただこの方法は私の人生が変化する事態を発生させるでしょう。すなわち、どれほど温厚で穏やかな性格で鳴らす人であったとしても長々と続く外国人の寝言より奇怪に思えるアルファベットの行列を目撃したら「すわ、敵性怪文書来たれり!」と差出人の名前を確認もせずに当局に相談に行くことは必定でありましょう、その後私は憲兵隊に散々しばかれた後に解読したまえと面罵される未来さえ鮮明に思い浮かぶのです。
自作の英文も極めて困難である、それならばどうすれば良いか?
そこで思いついたのは、夢を実現しようと苦労しながら暮らしているその人に敬意を表する為に偉大な劇作家の作品の大立者の口上を抜粋するのが最善策かと判断したのです、元から英文だし・・
We few we happy few we band of
ここまでタイプした所で思いつきました、新たな人格像を、まだ確定では無いのですが東インド会社勤務で紅茶販売のマネージャーが良さそうです。従って管理職の心得と紅茶に関する知識を導入する必要があります、そして私にはやらなかったや出来なかったという理由を探す必要は無いので早速100円ローソンでアールグレイと表記された紅茶を買ったのです。そしてとても気に入ったので年中インスタントコーヒーを飲んでいる習慣を改変しこれからは紅茶を飲む事に決定したのです。そして絵空事とはいえ新規作成されたキャリアを自分自身の内面に蓄えて置くのはきっと何かの役に立つという確信もあるのです。
そこで成功率を引き上げる為にこのような人物がいたらどう思うか評価して欲しいと別の人に相談してみたのです。もっとも答えは
西洋かぶれの菜食主義者ってキモイの通りこして超ウザいんですけど・・・だったのですがくじけずに前進すればきっと得るものはあるでしょう。