孫引きのうえにうろ覚えで申し訳ないのでありますが古いイギリス筋辺りの詩の一片をふと思い出したのであります。確か・・「金は王侯貴族のために、銀は乙女のために、銅は卓越した職人のために、そうとも！ただし鉄は冷たい鉄はそれらすべてに君臨する！」とかいった内容だった記憶があります。なるほど鉄という素材をうまく言い表していると思われます、強靭で重々しく打たれ強いタフな金属です。という訳で今回は素材の話なのであります。

こうやって見てみるとオートバイの中で重要な部品は鉄分が多いのは一目瞭然の事でありましょう、最近は科学技術の発達と共に色々な素材がありますがコストや加工技術そして積み上げてきたノウハウを勘案するとやはりしばらくの間は鉄の優位は揺らぐ事がないような気がするのです。そして鉄といっても色々な種類がありまして・・・・と続ける予定だったのですが、出所のハッキリしない伝聞なのではありますが最近の若者の中には就職先の組織において潤滑油的な存在になりたいと志願するそうです、勇敢な若者も案外多いものだなと思った半面実は車バイクから離れ過ぎて潤滑油という存在の実際の勤務内容を分かっていないだけなのかもと思ったのであります。広い部屋に沢山の仲間と一緒に配属される所から物語は始まります、遠くで始業のチャイムに例えられるセルモーターの回転する音が聞こえた直後にポンプで吸い上げられフィルターで少しさっぱりした後にメインギャラリーという部屋で行先を振り分けられます、高温のピストンの裏側や高速回転するカムシャフト回りでロッカーアームさんにさんざん痛い目にあわされたりメタルベアリングというヘビーな所に行かされたり挙句の果てはトランスミッションギヤでせん断されたりとかなのです、そして振り出しの大部屋に戻ってまたポンプで吸われてを業務終了まで延々と繰り返すわけです、そしてある日突然フレッシュな若手を雇用する為に解雇されるというエンジンの中で一番ついてない勤務内容なのです。なるほど消耗品は嫌だなしからば鉄分を志願しようとしても君臨しているクランクやミッションギヤ等が地位を譲るはずは無いと思われますので逆に警戒されて就職自体おぼつかない事でありましょう。潤滑油が無いとあっと言う間にクラッシュしてしまうという困った組織内部で酷使されるよりどうせなら楽でストレスと無縁の部署を探索するほうが良いかもしれません。

砂浜で戯れている時に突然重要な連絡が入ってメモしなければならない事態が発生したとします、紙とボールペンは持っているけどそのままでは当然メモ出来るわけがありません。その時にある程度の面積を持つ平たい硬い物質があれば目的の達成は容易であります、材質は何でも良くてただ存在していればよいのです化学用語でこれは触媒と呼ばれる品物であります。会社組織で例えるとクーラーの効いた部屋でニコニコ笑顔で存在するだけで回りの人たちの仕事が捗り悪い空気を浄化するといった感じであります。当然の事ながらオートバイや自動車にもその部署はありまして気合いと根性だけが価値を持つエンジンから排出される怨念のこもった悪しき排気ガスを浄化する装置であります、当然世のため人のためになりさらに特別な技術を所有する必要も適正も責任も無いという素敵な職場であります。そしてそれら進めてきた考察としてはこれからの就職活動においての決め台詞は御社での私の希望する立場は自動車で例える所の三元触媒ですと言えば多少は評価が上がるかも知れません。そしてそのような部署や職場の具体例とはなんぞやという質問に答えるべく探索した結果発見しました、それは・・あゝ残念ながら余白が無くなりました。

余談ではありますが、エキゾーストマフラー内の触媒に使用される金属はレアメタルであり貴金属にも分類されるそうです従って貴婦人の装飾品としても十分価値を持つ品でありまして指輪やブレスレットに仕立てると百貨店のショーケース内に鎮座させる事が可能になります。主な用法としては機嫌が悪くなり険悪な空気を発する親しい女性に装着すればどういった化学反応かうかがい知る事は不可能な事ではありますが低気圧が裏返って高気圧になるかの如く関係を修復し気分も晴れ渡るという効果があるということは歴史上良く知られている事実なのであります。ひとつ残念な事にコストパフォーマンスが悪すぎるという欠点がありまして経済力に余裕が無ければ実施することは非常に困難であるのです。そして経済と言えば政治経済に行き詰った国家間に緊張が高まれば制服を着た人達がお互いに鉄を投げ合うというのもまた良く知られた話であります。そして困ったことに現在国家間の緊張を緩和する触媒はウラニウムやプルトニウムという素材を原料としている事です、現世人類が知能知性を結集すればご機嫌で平和的な素材で新たなる触媒を完成させる事が可能になると思うのですが。