古くなった車両に価値を付ける慣用句に絶版車というのがあります、これからはもう出てこないからお早めに売買契約したほうがいいですよといった言外の意味を含んでいるようです、それを旧車という言葉で補強すればさらに高値を呼ぶのは中古車市場においては公然の事実であります。代表的な絶版旧車といえば日本製に限ってみてもくろがね四起や陸王あたりが名に恥じないでしょうが殆どの人が所有することも乗車することも出来ないのでこれらは除外した方がよいでしょう。20世紀の後半辺りの乗り物が一部の人達の人気を集めていると思われます、これらレトロ趣味は好ましくあるのですが実際に運用するとなるとこれがまた大変なのです。
ついこないだ入ってきたオートバイですNSR250RのSEというやつです、人によって基準は当然違うでしょうし異論もあるでしょうがもうここら辺りの車両も絶版旧車の範疇に加えてもいいでしょう。運転技術が口ほどにもない私でも結構速く走れたりする素敵性能であり小さくて軽くて扱い易い良く出来た製品です。とりあえずピストンリングの交換とRCバルブの掃除を実施したのですが・・・・。
バイクや自動車の旧車の話は良く聞く話ですが今まで全く知らなかった分野の話がとても面白かったのです、鉄道ファンの方に聞いたその時の話の主題は耐用年数を迎えた鉄道車両のラストラン時における撮影現場のドタバタなのですがそれらの何故か罵声の飛び交うという出来事も興味深いのでありますが鉄道というのはそれこそバイクや自動車より長い歴史を持つという事なのです、いわば絶版旧車の宝庫と言ってもよいでしょう。余談ではありますが鉄道の撮影というのは国や時代によっては非情に危険な趣味に分類されるようです、なぜなら鉄道というのは国防にもたいそう役に立つ巨大なシステムなので興味本位とはいえそれらを撮影を初めとする調査を行えばスパイ行為として当局に摘発される可能性があるそうです、言い換えれば鉄道ファンと諜報部員は時代や体制が違うだけで同じであるということです。そういった事を鑑みれば鉄道ファンというのは相当な性根が必要な偉大な趣味の一つであると言っていいでしょうフレンドリーファイヤーは宜しくないとは思いますが・・・、それら余談はさておいて鉄道の旧車趣味も色々あるようです、国鉄時代ひとつ取り上げても動力源に石炭軽油に電力とパワーユニットの違いがありましてそれらだけでも興味が尽きる事は無いかと思われます。個人的に面白いと思うのは蒸気機関です、ディーゼルエンジンや電気モーターは理屈以外でも多少は理解出来ますが蒸気機関車というのはガソリンエンジン整備士の理解を超えた動作原理かと思われます(私だけが解らないだけかも知れませんが)そもそも現実に走行しているのを見たことがありません、石炭を焚いて高圧蒸気でクランクを回転させる?動力を取り出すなら蒸気タービンなら効率が良くなるかも、しかし半クラッチが長すぎるとクラッチ板が焼けてしまうかもとかそこでスクーターの様に遠心クラッチなら案外簡単かもとか、スロットルの操作はやはり難題かと思われるとか割とどうでもいいような連想も可能なところが興味を引くのです。少し脱線しますが子供の頃テレビで見た銀河鉄道云々の動力源は流石に石炭では無いでしょう、なにしろ完全に与圧された乗務員室や客車の酸素を消費し尽してエンスト?するという物騒な輸送機械なら凄惨な画面を最後に一話で終了すると無学な私でも推察する事は容易であるからです。さらにガス欠やゲリラの破壊工作による送電線の切断という不愉快な出来事を予見して多分原子力潜水艦のように自立行動が可能な鉄道を発明した作者の先見の明には頭が下がる思いであります。つまりデザインだけは超レトロながらエンジンは最近の技術で完成された物を搭載するというのが新たな旧車趣味として提案してもいいような気がします。個人的な感想ですがそれこそ2サイクルレプリカの車体に最近の軽量ハイパワーな4サイクルエンジンを搭載すれば面白いと思われるのです。
ところがこうやって並べてみたら初めから最近のオートバイを購入したほうがいいような気がして来ました・・昔のバイクでは恐怖に耐えながらのスピードを鼻歌交じりで達成出来てしまうのです。コストパフォーマンス的にもエンジンやもっとも重要な車体の事を考えると新しいほうがなにかといいかと思われます。それに新しい方がデザインやその他も洗練されています、とかなんとか言いながらたまの休日には2サイクル車に乗ろうかな、などと考えてしまう所が潜在的旧車趣味なのかも知れません。カーブの多い峠道をゆっくり流すのならばこれら前世紀の乗り物でも楽しいものですから。そして数少ない補修部品の調達に関して数字上の局地的同士討ちが始まるというのもマニアやファンならではの光景なのかも知れません。